想像してみてください:高校3年生がストレスを抱え、真っ白なPC画面に点滅するカーソルを見つめています。そしてChatGPTを開き「大学のエッセイのアイデアを考えてくれる?」と入力する・・。こうした光景がますます増えています。生成AIはもはや未来的なツールではありません。普通の学生たちが大学入試という迷路を攻略するために活用しています。しかし、大学側はこれを容認しているのでしょうか?
本記事は英文記事の翻訳版です。原文はこちら をご覧ください。
想像してみてください:高校3年生がストレスを抱え、真っ白なPC画面に点滅するカーソルを見つめています。そしてChatGPTを開き「大学のエッセイのアイデアを考えてくれる?」と入力する・・。こうした光景がますます増えています。生成AIはもはや未来的なツールではありません。普通の学生たちが大学入試という迷路を攻略するために活用しています。しかし、大学側はこれを容認しているのでしょうか?
2025年半ば現在、具体的な答えが見え始めています。多くの大学がAIに関する方針を文書化しました。限定的な使用を認める大学もあれば、厳格な制限を設ける大学もあります。しかし、各校に共通している点は、出願書類は出願者自身の言葉で書かれるべきということです。この「本物であること」という概念はあらゆる場面で現れています。一方で人々の間では、公平性やアクセス可能性、さらに「従来の入学選考ルール」がAI時代に依然として通用するのかといった、より深い問いが投げかけられ続けています。
Permitted Uses of AI: What Colleges Allow (大学が許容するAIの利用方法)
米国で大学に出願する場合、多くの大学(1000校以上)がコモン・アプリケーション形式を採用しています。つまりAI利用に関する可否の基準は、このプラットフォームの規定に準じます。そしてその姿勢はかなり厳格です。コモン・アプリケーションの公式不正行為ポリシーでは、出願書類は「真実かつ完全であり、出願者自身によって作成されたオリジナルのものでなければならない」と規定されています。これはエッセイや短答式回答も含みます。文章の一部がAIや外部コンサルタントによって生成・改変された場合(部分的であっても)、不正行為とみなされます。
独自のAI利用規定を明文化していない大学でさえ、往々にしてこの基準を参照しています。したがって、大学から別段の指示がない限り、これが最低限の基準であると考えるのが最も安全です。要するに、ChatGPTにエッセイを書かせることは避けるべきでしょう。
Permitted Uses of AI: What Colleges Allow (大学が許容するAIの利用方法)
AI生成のエッセイは認められないものの、多くの大学ではより軽微なAI利用(校正や思考整理のため)は問題視していません。例えば、記述内容のアイデア出しや表現の明確化のためにAIを活用することは一般的に許容されています。また多くの大学では、基本的な文法・スペルチェック支援(Grammarlyのようなツール)の使用を許可しており、大学に関する調査や出願プロセスの確認にAIを活用することも問題視していません。
つまり、これらのツールはゴーストライターというよりデジタル蛍光ペンのような存在だと言えます。アイデアを代わりに書いてもらうのではなく、アイデアにたどり着く手助けをするために活用するのならば、問題ではないでしょう。
Common Restrictions: Drawing the Line (共通の制限事項)
とはいえ、いくらかの厳しい制限は存在します。ほとんどの大学は、その線引きについて一貫性があります。たとえ後で修正を加えたとしても、AIにエッセイを書かせることは許されません。また、エッセイ全体を他言語から翻訳したり、AIで書き直しすぎて本来の自然な表現や意見が失われるような行為も禁止です。もちろん、プロンプト(指示文)を貼り付けてAIの初稿を提出するだけで、実際の推敲作業を怠る行為に関しては絶対に許されません。
次のように明言する大学もあります。「チャットボットからのコピペは絶対にしないでください。たとえそれが素晴らしく、自分が書いたような文章に感じられたとしても、です。大学はあなたの声、あなたの物語、あなたの言葉を求めています。」もしそれを(ほんの少しでも)機械に委ねると、大学側に気づかれて深刻な結果を招く可能性があります。
Institutional Highlights and Unique Approaches (教育機関によって異なるAI使用に対する姿勢)
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教育機関名
許可された用途
制限のある事項
ポリシーリンク
Cornell University (コーネル大学)
リサーチ、ブレインストーミング、文法・スペルチェック
文法チェック、ブレインストーミング、リサーチ
リンク
University of Michigan: Rackham (ミシガン・ラッカム・グラデュエイト・スクール大学)
語句やフレーズの翻訳
アウトライン作成や下書きは不可。提出者が完全な著作者であること
リンク
Wharton Global Youth Program(ウォートン・グローバル・ユース・プログラム
ブレインストーミング、フレーズの助言、アイデアの整理
AIによる実質的なコンテンツは含まないこと。AI検出ツールが使用される可能性有(出願者が本当に書のかを確認するため)
リンク
Caltech(カルテック)
文法チェック、ブレインストーミング、リサーチ
アウトライン作成、下書き作成、音声置換は不可。AIの使用を明示すること
リンク
Brown University(ブラウン大学)
文法とスペルチェック
エッセイや短答式問題はAI生成コンテンツの使用不可
リンク
Transparency and AI Detection Tools (透明性とAI検出ツール)
AI検出に関して、一部の大学では方針を公開しています。AI生成の文章を検出するツールを使用していると公言する大学もあれば、AIの使用有無を学生に開示するよう求める動きも出てきています。現時点ではこうした透明性はまだ例外にすぎず、一般的ではありませんが、徐々に広まっていくでしょう。
現時点では、AI使用については調整局面だと言えるでしょう。大学側は、AIツールが急速に進化している現状において、好奇心や探求の余地を残したいと考えています。しかし同時に、誰かが不当な優位性を得たり、本来の試験過程をスルーして合格してしまうことを確実に防ぎたいとも考えているのです。ですから、AIの使用を考えているなら、あなたの出願書類がそのような観点から審査される可能性を考慮すべきでしょう。
Implications for Applicants (出願者への影響)
複数の大学に出願する場合(ほとんどの学生が該当しますが)、各校でAIに関するルールが一貫していないことにすぐに気がつくでしょう。ある大学では全く問題ないことが、別の大学では致命的な問題となる可能性があります。つまり、出願者は明確な基準がない中、柔軟に各校のルールに対応しなければなりません。
明確な指示がない場合、最も安全な方法は最も厳格なルールに合わせることです。全てを自分で書き、AIはスペルチェッカーやブレインストーミングの相棒としてのみ使用してください。友人が書いたものをコピー&ペーストしないなら、ChatGPTでも同じことをすべきではありません。
たとえ大学がAIの使用を一部認めていても、あなた自身に関する情報が、自身の声ではっきりと伝わることを期待されています。それが入学審査官が求める部分であり、偽ることのできない部分です。ですから、AIは行き詰まりを解消したり文章を校正するのに役立つかもしれませんが、ストーリー、論調、視点などはすべてあなた自身によるものでなくてはなりません。
Broader Ethical Debates(広がる倫理的議論)
出願におけるAI利用の台頭は、現実的な議論を引き起こしています。AIを機会均等のためのツールと捉える人々もいます。特に、蓄積された知識を持たない学生や英語が母語でない学生にとっては有益なツールでしょう。一方で、AIがシステムを悪用するための新たな抜け穴を開けるだけだと懸念する声もあります。
一部の教育機関では、AIの存在を認めるシステムを試験的に導入し、革新性と信頼性のバランスを取ろうとしています。しかし、はるかに物議を醸す見解を示しているのがAIスタートアップのCluelyです。同社のスローガンは文字通り「cheat on everything(あらゆる点でカンニングをする)」です。共同創業者のロイ・リーは以前、就職面接で不正行為を行うAIツールを開発したとしてコロンビア大学から停学処分を受けた人物です。同社はAI支援によるパフォーマンスを臆面もなく推奨していいます。創業陣はAIを電卓やスペルチェックの標準化に例えており、「全員が実践すれば、不正行為は不正ではなくなる」と主張しています。
その見解が大胆な破壊と映るか、それとも無謀な倫理無視と映るかは読者の判断に委ねられるでしょう——しかしその存在自体が、いかに意見が分断されているかを如実に示しています。
Conclusion: Navigating the Road Ahead (おわりに:今後の展望)
生成AIがはびこる一方で、大学出願におけるその使用ルールはまだ形成中だと言えます。現時点では、学生たちは様々な方針・条件を考慮しながら出願という作業に当たらなくてはならず、さながら迷路の中を進むようです。
この状況は混乱を招くだけでなく、正直なところ時に不公平に感じられることもあるでしょう。
しかし、様々なルールや考えから見られる原則があるとすればこれでしょう。「入学審査官はあなた自身の声を聞きたい。それはチャットボットでもコンサルタントでもなく、あなたの考え、視点、物事の伝え方である。」ただし、そこに至るためのツールを使えないという意味ではありません。最終的な成果物が、本物の人間によって製作されたものであるべきだという意味でしょう——そしてその人物は他でもないあなた自身でなければなりません。
自分自身の声がどんなものか、わからない場合もあるでしょう。そんな時に 見つけ出す方法は以下の通りです。必要なのは紙と鉛筆(ペンでも可です。ペンの方がおすすめです。)。座ってペンを手に取り、言葉を書き出します。内容は何でもよいので、とにかく何かを書き続けることです。決してペンを止めず、ページがいっぱいになるまで書き続けてください。そして言葉で埋め尽くされたページを見てみましょう。自分の中にそんな言葉があったなんて知っていましたか?私自身、これを試すまで全く気づきませんでした。でもそれこそがあなたの声の一部なのです。
もちろんありのままの言葉たちをそのまま入学事務局に送るのはのではなく、より深く考え、計画を練り、信頼できる人に読んでもらいフィードバックをもらってみましょう。しかし皮肉なことに、最初のノートに書き詰めたありのままの言葉たちこそが、まさに「あなたらしさを表現せよ」というルールが求めるものなのです。最終的なエッセイがどんな形になろうとも、ノートに残る言葉の中に宿る「あなた」を輝かせることを心に留めておきましょう。